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8月30日

2019.08.30 Friday 14:24 | comments(0) | kpmi0008

『「よく食べてくれる物」を与えることを目標にしてはならない』

 掲載した写真は、ときわ動物園(山口県宇部市)のWebサイトの「飼育員ブログ」から引用致しました。そのブログの内容を拝見していると、大いに考えさせられることが多くあります。その中から、お猿さんたちの食事に関することについて、簡単に紹介してみようと思います。

 一言で表すならば、タイトルに書きましたように、『「よく食べてくれる物」を与えることを目標にしてはならない』ということです。これは、人間の子どもたちに食事を与える時にも言えることであり、大人たちは充分に注意しなければならないことだと言えます。

 動物園には、何種類ものお猿さんが居ます。もちろん、種が違えば食性も少しずつ異なるわけですが、どの種類のお猿さんにも大いに喜ばれる食べ物は、バナナをはじめとした果物類だそうです。しかし、少なくとも日本のスーパーマーケットで手に入るバナナやリンゴなどは糖分が多過ぎて、それを与えたお猿さんたちには糖尿病や虫歯などが増えることが確認されたため、今では殆どの動物園で、それらを与えることは無くなったそうです。

 ときわ動物園でも数年前に、写真の左上のようなバナナを含む食餌から、写真の右上のような野菜中心の食事に変更したそうです。変更前のバナナを含む食事であっても、写真からも判るように多くの野菜を含んでいるため、そんなに悪いとは思えなく、お猿さんの健康状態も決して悪くはなかったそうです。しかし、それを更に改め、バナナやリンゴなどの甘い果物は一切加えず、野菜の他には、ナッツ類や、園内で採取できる多種類の樹木の枝葉や、野草も加えるようにしたそうです。それによって、お猿さんの健康状態に、次のような変化が見られたといいます。

 それは、痩せていたトクモンキーの体が大きくなってきたり、毛並みが悪かったシシオザルのたてがみが立派になってきたり、群れの中におけるケンカの頻度も減少傾向が見られた…、などだそうです。食餌を変更してからまだ数年しか経っていないため、今後も色々と良好な結果が報告されることになると考えられます。

 概してお猿さんは、ヒトと同様の食性を持つ雑食性の哺乳動物です。植物性のものだけでなく、園内の樹木に棲息する昆虫なども随時食べているようです。その他には、右下の写真に示した鉱塩(ミネラルブロック)を舐めたりしてミネラル分を補充しています。それらの諸々の物を合わせて1日の食餌になっています。言い換えれば、やはり、ヒトに極めて近い哺乳動物だということになります。

 飼育員さんは、次のようなこともおっしゃっています。「何でも食べるサルだからこそ、何を食べさせるのか?…を大切にしていきたいと思います」と…。また、どこの動物園にも「エサを与えないでください」という注意書きがありますが、これを守らずに、お猿さんに人間が食べているような物を与えると、それはお猿さんにとっても美味しいですから喜んで食べます。しかし、これが継続されると早かれ遅かれ病気になってしまいます。人間は、それほど不自然な物を食べているということです。

 私たちは気付かなければなりません。人間社会に埋没していると、人間が生物の一員であり、お猿さんの仲間であることを忘れてしまいます。そして、「次回も買って食べてくれる」ことを目標にして食品が開発・製造され、子どもたちに対しては「よく食べてくれる」ことを目標にして食品が作られ、そのような味付けが優先されます。しかし、それが大間違いであることに一刻も早く、皆が気付かなければなりません。

 

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