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5月11日

2019.05.11 Saturday 17:39 | comments(0) | kpmi0008

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昨日、オプジーボ投与後に患者11人が脳の機能障害を起こし、うち1人が死亡したことが明らかになり、厚生労働省は、小野薬品工業に対し、薬の添付文書に脳の機能障害という「重篤な副作用」として明記するよう指示したとニュースで報道されました。オプジーボの作用機序が分かれば当然の結果です。多くの人にこの事実を知っていただきたいので再投稿します。

『オプジーボが抱えている深刻な問題点』

この度の、ノーベル医学・生理学賞の対象になった「免疫反応のブレーキ役であるタンパク質「PD‐1」の発見」については、がん細胞と免疫細胞の相互作用に関する一面を解き明かした研究であると思われます。しかし、「新しいがん治療薬『オプジーボ』の開発につながったことが評価された」という件については、手放しで賛同できるものではありません。これに関して思うところを、少々述べてみたいと思います。
がんを治癒させるために、他に方法が無いのならば、それを使いたいという要望があって然るべきでしょう。しかし、大半のがんは細胞環境の悪化が原因ですから、その細胞環境を適正なものにしてやれば、がんは退縮していきます。退縮する場合の主な機序は次の2つです。一つは、がん幹細胞や、それに準ずる分化度の低いがん細胞が、通常の細胞に戻ることによるものです。もう一つは、分化度の高いがん細胞や、染色体異常や遺伝子変異を伴ったがん細胞が、免疫細胞によって自滅のスイッチが入れられて自滅していくことによるものです。
このような機序によってがんは退縮しますから、医師から見放された末期がんの患者さんのがんが消えて、健康体に戻ることがあるのです。その場合、医師は「奇跡が起きた」と言うわけです。実際のところ、これは奇跡ではなくて、自然の摂理です。
では、がん患者さんががんを患っているとき、何故がんが退縮しないのかと言えば、まだまだ細胞環境の悪化が継続しており、がん細胞を存続させる必要がある、或いは更にがん組織を成長させる必要があると、全身の細胞が判断しているからです。
そもそも、がん細胞は、その組織においてがん化しなければならない理由があったからこそがん化したわけですが、これは、免疫細胞も合意の上での出来事です。がん化したときには、がん細胞であることが周りの免疫細胞に判るように、細胞膜の表面に目印を出します。専門的に言えば、がん細胞であることを特徴付ける抗原を提示します。「そんなことをしなくても、見つからないようにこっそりと行動すればよいのに…」と思われるところですが、地球上に存在する生命体は、そんなに卑怯なマネはしないことになっています。正々堂々と、がん細胞であることを判るようにして活動します。そして、その抗原は、あたかも何処にでも無料で行けるフリーパスのような役割を担っています。即ち、「がん細胞がご来場ですから、先にお通ししなさい。そして、自由に活動できるように守ってあげなさい」という指示になっているわけです。また、がん化している必要が無くなったときには、がん細胞であることを見分けて処分するときの、目印の役割も兼ねています。
今回のノーベル賞に絡んでいる「オプジーボ」が功を奏するのは、ごく一部の患者さんの、ごく一部のがんだけである理由は、このあたりにあります。要するに、免疫細胞(この場合はT細胞)のブレーキ機能を壊しても、大抵の場合は、免疫細胞ががん細胞を攻撃するには至らないということです。換言すれば、免疫細胞のブレーキが正常であっても、がんは攻撃から逃れられるシステムが出来上がっているということです。がん細胞は、生存や成長に対して、その他の各種細胞からも特別の優遇を受けています。それこそ全身の細胞によって、がん細胞が成長できる環境が用意される仕組みになっているのです。「それは怖い…」と思われるかも知れませんが、そもそも細胞を怖がらせているのが、がん組織の周辺の悪化した細胞環境だということです。
オプジーボが理に叶ったものかどうかを更に知るために、免疫細胞のブレーキシステムについて簡単に見てみることにしましょう。まず、免疫細胞と言っても、これはT細胞の場合に限るものです。T細胞には、標的細胞を自滅(アポトーシス)させる行動(即ち攻撃する行動)をストップさせるブレーキペダルが付いています。そのブレーキペダルには「PD-1(Programmed cell death 1)」という名前が付けられています。このブレーキを踏めば、T細胞は攻撃をしなくなります。そして、がん細胞は、このブレーキペダルを踏む足を持っています。その足には、PD-L1とかPD-L2などの名前が付けられています。がん細胞は、この足でもって、T細胞のブレーキを踏みます。ただ、この動作は、成長や活動に関して優遇されているがん細胞にとっては、あくまで補助的な行動です。「念のためにT細胞のブレーキも踏んでおこうか…」程度の動作なのです。だからこそ、オプジーボを使ってこのシステムを邪魔しても(ブレーキペダルであるPD-1に人工的な抗体をくっ付けてブレーキを踏めないようにしても)、その影響が及ぶのはごく一部のがんにとどまってしまうことになります。
さて、オプジーボを使ってT細胞のブレーキを無効にしてしまうことは、小学生が考えても結論は一緒でしょう。「とんでもないことが起こる!!」「体内のいろんな組織の、いろんな細胞が攻撃対象になってしまう」ということです。画像として掲載した、オプジーボに関する過去の報道内容を決して忘れてはいけません。最も心配するのは、ノーベル賞によって、この薬の悪いところが、かき消されてしまうことです。
がん化する原因を正しく理解し、がん細胞と免疫細胞の協力体制の意味を正しく捉えなければなりません。巷では、遺伝子変異が積み重なってがん化しているという説が未だに優勢ですが、だったら、何故がん細胞は、わざわざ特異的な抗原を提示し、わざわざT細胞のブレーキを踏みに行くのですか? 壊れたはずの異常細胞に、何故そのような芸当が出来るのですか?
オプジーボによって死亡された人は多く、途轍もなく高額な薬代が払えなくて投与を中断した人も、致命的な有害作用によって苦しんでいます。その人たちのためにも、オプジーボを正当化するような動きは自粛するべきだと思います。

 

 

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