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1月22日

2019.01.22 Tuesday 12:03 | comments(0) | kpmi0008

『スマホの連続使用は脳を混乱させる』

 出来ることならば、生涯病気をすることなく、健康的に過ごしたい。子どもたちにも、心身共に健やかに育って欲しい。これは、多くの人の願うところではないでしょうか。ところが、現代人の多くは、自ら病気に罹りに行き、また、子どもたちの健全な発達を妨げるような行為を続けています。次に紹介するのは、何気ない事のように思われるかも知れませんが、大変深刻な問題です。私たちが思っている以上に、私たちの脳や神経系は素直かつ敏感に反応し、悲鳴を上げ続けている状態だということです。

 環境心理学を研究している研究者が次のような実験結果を報告しています。概略のみ紹介しますと、まず複数の被検者に数学のテストを行わせ、ストレスが過度に高まった状態を作ります。その後、その被検者を3つのグループに分け、1つ目のグループの人たちには樹木と芝生が見える窓の前で過ごしてもらいます。2つ目のグループの人たちには樹木や芝生を映した大型テレビの画面を見て過ごしてもらいます。3つ目のグループの人には単調な壁を見ながら過ごしてもらいます。そして、その後にストレス度がどれほど低下したのかを調べるために、心拍数を計測します。心拍数がより大きく低下したほうが、副交感神経がより優位になったということですから、ストレス軽減効果も高いことになります。さて、皆さんは、どのような結果になったと思われますか?

 ご想像のとおり、樹木と芝生が見える窓の前で過ごした人たちの心拍数は速やかに大幅に低下し、ストレス軽減効果が高いことが判りました。一方、同じく緑色の自然の風景であるものの、それがテレビの画面に映し出されたものを見て過ごした人たちは、単調な壁を見て過ごした人たちと殆ど差が無かった、という結果になりました。これは、私たちを深く反省させる結果ではないでしょうか?要するに、ニセモノでは脳を騙(だま)すことが出来ないということです。

 色彩心理学という分野もあります。緑色には、癒やし効果があり、性格を優しくし、思考を柔軟にし、バランスのとれた行動ができるようにする効果、などが認められています。一言で言えば、自然体にしてくれるということでしょうか…。これは、上述のテレビ画面で緑色の風景を見ても、その効果は得られるはずです。しかし実際には、脳は「天然」と「人工」を、しっかりと識別していることになります。要するに、脳は、テレビ画面に何が映し出されていようが、あくまでテレビ画面を見ている、と解釈しているのです。当然と言えば当然でしょう。被検者の人たち自身も、確かに緑色の光が目に入ってはきますが、意識としては「テレビを見ている」と思っているでしょうから…。

 この結果は次のようなことも教えてくれます。近年では、特に子どもたちのスマホの使用時間がかなりの長時間になり、低年齢化も著しくなっています。スマホの画面を見続けるという行動は、人類の生活様式としてはまさに異常なものであり、脳の発達障害を来す大きな原因にもなっています。仮に、スマホにて癒やされる内容のものを見たとしても、脳はスマホの画面を見ているとしか認識してくれないわけです。しかも、スマホを見ている時間は自然の緑の景色を見ない時間になります。

 スマホの連続使用が発達障害を引き起こす原因は、皆さまもご存じのように決して一つではありません。スマホの連続使用によって受けた精神的ストレスは、脳内の各種の神経伝達物質の放出バランスを片寄ったものに変化させてしまいます。ある特定の神経伝達物質が多く放出されている状態が長時間続くと、今度はそれを受ける受容体がダウンレギュレーションを起こし、そう簡単には元の状態に戻らなくなります。特に発育期である子どもの頃にこれが起こると、該当する神経細胞の働き方が、その状態で固定化されやすくなります。即ち、あとから修正するのが大変難しくなってきます。もちろん、それによる学習成績の低下も、今では大きな社会問題になってきています。

 植物に絡む話は、前回は植物が放出する精油について紹介しました。それは、いわば物質による影響ですが、今回の話は、目から入ってくる景色による影響です。そして、画面に映し出されたものではあまり効果が無く、実際に目の前に広がっている樹木や草の景色を見ることが必要であるというお話です。子どもだけでなく、大人の精神状態を適正に保ち、良好な思考ができるようにするためにも必要です。また、壁やカーテンで仕切られた病室で治療しても病気は治らないということです。人類の脳も、自然の景色が視神経を通じて脳に入ってくることを前提として構築され、最適化されています。要するに、緑の景観も、脳のビタミンであると言えるわけです。

 

 

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