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5月17日

2018.05.17 Thursday 18:04 | comments(0) | kpmi0008

【タウリン不足と男性不妊】

タウリンに関する興味深い研究結果が報告されましたので、ご紹介しておきたいと思います。筑波大学と米コーネル大学が示した結果で、精子の受精能にタウリンが重要な役割を果たすというものです。

マウスを用いた今回の研究では、タウリン合成酵素の「システインジオキシゲナーゼ」(CDO)に注目しました。すると、オスのマウスの精巣上体(副睾丸)でこの酵素が多くつくられてタウリンを合成すること、精子はこのタウリンを吸収して、メスの生殖器に進入した際の「護身用」にすることが分かったのです。

男性生殖器内(精巣上体)と女性生殖器内(子宮)では浸透圧が異なっていて、そのままの状態では、女性生殖器に進入した精子は浸透圧の差異のせいで鞭毛が変形し、卵管にたどり着いて卵子と受精するために必要な運動能力を失ってしまいます。

そこで精子は、精巣上体に貯蔵されている間にタウリン(浸透圧の調節作用がある)をあらかじめ取り込み、女性生殖器内で直面する浸透圧の差異にも耐えられるようにしておいてから、鞭毛の変形を防いで運動能力を維持するというわけです。

近年では、不妊の原因は男性側と女性側のそれぞれ、あるいは双方に、ほぼ半々で存在することが分かっています。むしろ最近では、男性側に理由があるケースが増加しているとさえいわれるほどです。

今回の研究では、タウリン合成酵素をつくれないようにしたマウスが用いられましたが、私たち人間は体内でタウリンを合成できるものの、その量は比較的少ないといわれているため、食事からの摂取も心掛ける必要があります。普段からタウリンをしっかり摂取することに加えて、あらゆる方面から細胞の環境を整えて生命活動が正しく行われるようにすれば、カップル両方にとって、不妊の予防や改善にも幅広く役立つのです。

<参考文献>
◆Cysteine dioxygenase is essential for mouse sperm osmoadaptation and male fertility
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/…/p…/10.1111/febs.14449

◆精子のタウリン不足が不妊を招く(筑波大学のニュースリリース)
http://www.tsukuba.ac.jp/attention-resea…/p201804201400.html

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