山田所長ブログ facebook 杏林予防医学研究所

2月13日

2018.02.13 Tuesday 13:41 | comments(0) | kpmi0008

【トランス脂肪酸に見る日本の問題】

先日、トランス脂肪酸に関する下記の記事を見つけましたので紹介しておきます。

◆トランス脂肪酸減らします 各社のマーガリン定番商品
(2018年2月9日 朝日)
https://www.asahi.com/articles/ASL2851KFL28ULFA01Q.html

日本の大手食品メーカーが、今年6月から始まるアメリカでのトランス脂肪酸全廃に合わせて、自社のマーガリンに部分水素化油脂(トランス脂肪酸を多く含む加工油脂)の使用を3月から一斉に取りやめるというものです。

大半の家庭の朝食で、原材料にも加工油脂を用いるなど問題だらけの食パンに、こうしたマーガリンを塗って平然と食べているという日本の現状をふまえれば、今回の動きが大きな前進であることは間違いありません。一方で、私がどうしても許せないのが、「なぜ企業の自主性に任せて、国が動こうとしないのか」ということです。

兵庫県尼崎市で、大手機械メーカーのクボタの工場があった周辺住民にアスベスト(石綿)疾患が発生し、大きな社会問題となりました。クボタは被害者やその家族に謝罪し、見舞金を支払ったり、犠牲となった従業員に労災認定を行ったりし、最終的には健康被害の救済に関する法律も制定されたわけですが、それは2006年、わずか十数年前の話です。

アスベストの危険性が世界で最初に指摘されたのは1930年代のドイツでした。日本で吹き付けアスベストが禁止されたのは1975年。それ以前の古い建築物が解体された時に発生するアスベストの量は、2020年から2040年がピークになるといわれているのです。

トランス脂肪酸の問題をめぐる国の姿勢も、こうしたアスベストの問題と何もかもが共通します。しかも、アスベストの場合は、主に犠牲になるのは飛散した周辺地域の人々ですが、トランス脂肪酸の場合は日本全土の老若男女であり、しかも毎日の食事で繰り返しさらされるものです。

世界を見渡せば、韓国や中国、台湾といった東アジア諸国も国家レベルでトランス脂肪酸の規制が積極的に行われているのとは対照的に、なぜか日本だけが何もしようとはしません。「日本人の摂取量は比較的少ない」の一点張りです。“無法地帯”の日本では、仮に今、トランス脂肪酸が禁止されたとしても、その健康被害が何十年も続くことでしょう。日本政府には、このような想像力が完全に欠落しているのです。

最近報告された海外の研究でも、最も有効なトランス脂肪酸対策は「企業の自主規制」でも「ラベル表示義務」でもなく、「禁止」であると結論付けています。要するに、国が動かなければ、日本の未来はないといっても過言ではありません。

今年6月のアメリカ、そして今年9月からはカナダでも開始されるというトランス脂肪酸の禁止が、日本を含めた全世界に改めて大きな影響を及ぼすことを願ってやみません。

 

 

 

コメント
コメントする

 カレンダー

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

 最新記事

 アーカイブ

 モバイル

qrcode

 山田豊文所長プロフィール

 ページ内検索

 その他

ページトップへ