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12月11日

2018.12.11 Tuesday 14:58 | comments(0) | kpmi0008

『オプジーボのメッキが剥がれてきた』

 ノーベル賞まで取った「夢の新薬!!オプジーボ」。今年になって値下げされたとは言え、100mgが27万8千円もする超高価な薬です。これの“メッキ”が徐々に剥がれてきました。つまり、隠されていた真実が徐々に掘り起こされてきたのです。

 掲載したグラフは、「サンデー毎日 2018年12月16日号 『オプジーボはホントに肺がん特効薬か?』」から引用したものです。なお、引用されている原著論文(N Engl J Med 2017; 376:2415-2426)も確認し、データが一致していることを確認しました。

 まずグラフの左側は、オプジーボを肺がんに保険適用させようとしたときに使われた試験データです。細かな解説は長文になりますから割愛させていただき、要点のみを紹介します。要するに、従来の抗がん剤よりも生存期間を伸ばすことが出来ますよ、というデータです。そもそも、生存期間などを指標にすること自体が許されないことですが、その話は置いておきます。

 因みに、比較(対照;コントロール)に用いられた抗がん剤は「ドセタキセル」です。これは、細胞分裂の時に、染色体を引っ張ったりする微小管の形成(重合)を阻害して、細胞分裂が出来ないようにする猛毒です。そもそも、そんな猛毒が比較対照であったわけです。

 さて、グラフの右側ですが、これは2017年に既に出されていた試験データであって、あまり公に曝されることは無く、いわば隠されてきた試験データです。このデータは、国際共同試験(日本を含む世界26ヵ国)に参加した進行期肺がんの被検者423人に対し、オプジーボ投与群211人、抗がん剤投与群212人の2群に分けて、経過を追跡調査された結果です。これを、サンデー毎日が採り上げたということです。

 グラフを見てお判りのとおり、オプジーボは猛毒の抗がん剤よりも猛毒であり、2年もすれば8〜9割の人が亡くなり、残りの人も時間の問題だというデータになっています。承認を取るときには都合の良いデータが使われ、フタを開けてみると「全然違うじゃないですか」ということです。日本では、一度承認を取れば、後から取り消されることは無いという土壌が根付いていますから、このようなことが度々起こります。

 また、オプジーボを投与すると、より早く死んでしまうというのは、当たり前といえば当たり前です。前回のオプジーボ関係の投稿でも述べましたように、免疫システムのブレーキを効かなくするわけですから、自分が自分によって殺されていくことになります。逆に、がん組織は、ニッチとよばれる砦(とりで)を作って薬物が届くことを防ぎますし、そのニッチ内にいる免疫細胞はがん細胞の見方ですから、ブレーキが壊されたところでがん細胞(少なくとも、がん幹細胞)が攻撃されることはありません。

 サンデー毎日の文中に「…オプジーボの作用原理自体に何か大きな欠陥なり、見落としなりがあると考え直すのが妥当なのではないでしょうか」という、コメントが述べられていますが、欠陥や見落としは有り過ぎです。シャーレの中で培養していたがん細胞と免疫細胞(T細胞)の関係は、生体組織中では殆ど反映されません。微小なレベルでは、上述したがんニッチという組織が形成されますし、その中の免疫細胞のスイッチの状態は、シャーレの中の免疫細胞のスイッチの状態とは異なっています。また、がん細胞や他の組織の細胞からコミュニケーションツールとして放出されているマイクロRNAや各種のサイトカインは、培養系では再現できません。要するに、多細胞動物の体は培養系では殆ど再現できないのです。それは、どのようなコミュニケーションが生体内で取られているかの全貌を解明することが、今の人類では不可能だからです。

 話が微に入ってきましたので戻しますが、生体中のがん細胞は、状況変化に応じて、人類が想像も出来ないような多種類のコミュニケーションを取って、組織ぐるみで変化していきます。実験室で作り上げられた理屈というのは、工業分野では応用できることが多いかも知れませんが、生命分野ではそんなに単純ではありません。そのことをしっかりと認識しないからこそ、オプジーボのような、実験室発祥の空論がノーベル賞を取ったりすることになってしまうのです。

 では、私たちはどうすべきなのかと言えば、がんは日々の生活で細胞の環境が悪化していくことによって起こります。従って悪化する原因をできるだけ少なくして、細胞が喜ぶ生活習慣や食習慣を実行する事です。それが健康長寿や幸福、そして治癒を進める上での基本だと思います。

 

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